ユーロスペースにて、映画『はちどり』を鑑賞。
6月20日公開からロングランしていますが、現在見られる映画館は少ない。渋谷ユーロスペースにて16時25分からの1日1回上映であるが、ようやく見ることができました。
世界各国の映画祭で50冠を超える受賞! 韓国で最も権威のある映画賞、青龍賞で『パラサイト 半地下の家族』をおさえ最優秀脚本賞を獲得。という情報を知ると、見逃すわけにはいかない気持ちになりました。結論から言いますと、見逃さなくて良かった。かなりの傑作。私の年間ベスト10にも入るでしょう。
家族にも学校にもなじめない14歳の少女ウニの思春期の繊細な心理を、女性監督のキム・ボラが、自らの体験も反映させて描いていると。舞台は1994年、空前の経済成長を迎えた韓国であるが、ウニの家族は「餅屋」を営み、集合アパートで細々とした生活をしている。
浅田真央さんにも似た、可愛らしく純粋な表情を見せるウニですが、家族にも学校にもなじめず、タバコ、カラオケなど不良の道へと落ちていきます。友人やボーイフレンドはいるものの、その関係は簡単ではなく、孤独感、疎外感を強烈に感じている。そんな彼女が、唯一信頼できる人物と出会い心を開いていく・・・という物語。
映画『パラサイト 半地下の家族』でも、韓国社会の貧富の差や学歴社会の歪みなどが描かれていましたが、本作でも同様に、韓国の社会や家族の問題に切り込んでいきます。社会描写の部分は、ヘビーで見ていてつらくなる場面も。
心理描写をたんたんと積み上げられ、最後のクライマックスでどっと涙があふれる。アート系の作品や是枝監督作品が好きな人には、本作に魅了される違いありません。
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