カンヌ国際映画祭最高賞、パルムドールを獲得した是枝裕和監督の『万引き家族』を見た。
「家族」から「血縁」を取り除くと何が残るのか?
「家族」とは何か? という、深い問題を問いかける。
見ていて心が苦しくなるのが是枝作品の特徴。本作は、家族らしい楽しげな団らんシーンが続くが、いつまでもこんな生活は続かないだろうという破綻、波乱が予兆され、楽しげな中にも「不安」や「心苦しさ」に支配される。
家族というテーマと隣り合わせに、孤独、老い、貧困というテーマも描かれるが、その答えの一つとして「大家族」あるいは、「大家族的なコミュニティ」という答えが提案されている気がする。
親子孫の3世代が、同じ屋根の下に川の字になって寝るという、今はなき風景。大家族の時代には、当たり前にあった。密なるコミュニティの人間関係は、家族によって満たされないもの、足りない部分を代償するかもしれない。
とにかく、いろいろと考えさせられる作品。感動作というよりは、問題作というべきか。
Search